☆ écru nacci ☆  

--- セーラー・カメ デビュー! そのB ---

私が小学生だったころ、モーニング娘。は国民的アイドルだった。
女の子はみんな安倍さんや後藤さん、石川さんや辻さんたちにあこがれ、娘。に入りたいと思った。
そして私は6期オーディションを受けその夢を実現した。

でもじつは少女時代の私にはもう一人あこがれの人がいた。
紫のヒラヒラした衣装を着て、トップロープから延髄ニーを叩き込む女子レスラー。
みちのくドライバーU、ロコモーションジャーマン、ダブルアームバックブリーカー。
美人でスタイルも抜群、戦ってる姿は美しい。子供の頃一度だけ試合を見た。名前も知らないあの人は誰・・・?

「カメちゃん、素直になれよ。毎晩夢を見るんだろう?あこがれの人みたく、リングで戦ってみたいんだろう?」
「管理人さん、あの人の名前を教えて。まだ現役でやってるの?」
「君が小学生のころといってもせいぜい5、6年前だろう、まだまだバリバリのはずだ。これを見てごらん。」

ビデオをまわす管理人。そこには昔と変わらない、美しくて強いあの人の姿が!
「あああ、そうそう、この人!きれいで強くてかっこよくて。管理人さん、この人なんていう人?」
えりの目が俄然強めに輝いた。

日向あずみ。現JWP無差別級チャンピオンだ。このビデオは先日あの豊田真奈美から流出したベルトを取り返したときの試合。」
「日向あずみさん?この人強いよねえ?美人でスタイルもよくて。かっこいい!」
「うむ。おそらく田村欣子、里村明衣子あたりとともに現在最強の女子レスラーだろう。強い人は美しい。究極の女子レスラーだ。」

画面を食い入るように見つめるえり。
「どうだ、カメちゃん?血を抑えられないだろう?日向のようになりたいとずっと思っていたんだろう?」

「私はもう我慢ができない。日向さんのようになりたい!私もリングで試合がしたい!女子レスラーとしてデビューがしたい!
管理人さんはキャリア12年の現役でしょう。お願い、私がデビューできるように協力して!」
「うむ、だめだ。デビューはさせられない。」

「ええ、どうして!?」 
「芸能界をやめることは君にはできない。芸能活動をしながらリングに上がるなんて、オレは許さない。他のレスラーの人たちも
そんなことは許してくれない。アイドルとレスラーの両立なんて許さない。どうしてもというなら娘。をやめろ。」

「娘。をやめるなんてできないよ!どっちも私の夢だもの。」
「どちらか道は一つだ。レスラーになりたければ娘。をやめなさい。両立は許さない。」

(おお・・・かっこいいなオレ。金子賢をいさめた前田日明みたいじゃん!)
なんか3年ぶりぐらいで管理人は自分に酔った。 (続く)

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☆ écru nacci ☆

--- セーラー・カメ デビュー! そのC ---

日向あずみにあこがれ女子レスラーになりたがるえり。
えりのお願いを管理人は毅然とした態度でつっぱねる!

「管理人さん、えりレスラーデビューがしたいの。お願い、協力して!」
「だめだ。両立は許さない。娘。に在籍している限り協力はできない。」
「協力してくれなきゃ、えり泣いちゃうよ?いいの?」
「いいよ。勝手に好きなだけ泣けば?」

「しくしくしく。しくしくしく。」
おお、どうしたことだろう。えりが泣き始めたとたん、管理人の胸に激痛が!
「うわああ、い、痛い!胸が痛む!おおお〜。」ひっくり返って苦しむ管理人。

「しくしくしく。どう、管理人さん?えりを泣かせると胸が痛むでしょう?かわいい子にはこんな武器もあるんだよ。しくしくしく。」
「あああ、胸が焼けるように痛む!カメちゃん、泣くのやめてくれ!うう、胸が痛い、死ぬう〜!!」
「しくしくしく。えりレスラーになりたいの。協力してくれる?しくしくしく。」

ううっ、このままでは命にかかわる。どうする、管理人?
「わかった!わかったから、泣くのやめてくれよ!おおお、胸が痛くて死にそう・・・。」
「協力してね、管理人さん!」

3日後、深夜0時、都内某所。
えりを伴って管理人現る。

「管理人さん、ここどこ?なんか倉庫みたいだねえ。あ、リングがある!」
「ある女子団体の道場だ。顔見知りなんで夜中だけ貸してもらった。リングもトレーニング器具もそろっている。これから毎日深夜に2時間、
ここで君を鍛えてあげる。君がリングに立てるようにしてあげる。」
「うん!お願いします!」

「まず、君がケガをしないように受身を教えてあげる。これができないとレスラーになれないよ。」
「うん。」
「受身がマスターできたら君に三つだけ技を教えてあげる。その三つだけでデビュー戦を戦いなさい。」

「どんな技を教えてくれるの?」
「ボディースラム、ドロップキック、押さえ込みといった基本技だ。これがマスターできたら君のデビュー戦の相手を探してあげる。」
「うん、わかった。えりがんばるから!娘。のお仕事も続けるよ。両立させてみせるから!」

こうしてえりは毎晩道場に通い、練習を続けた。(続く)

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